読書日記

毎日本を読まないと眠れない本好き。おススメの本について感想文です。

「サピエンス全史(上下巻)」 ユヴァル・ノア・ハラリ

 

★紹介図書 「サピエンス全史(上下巻)」 ユヴァル・ノア・ハラリ

 

 本書は、生物的に脆弱であるホモ・サピエンスがなぜ生き残り・繁栄できたのかを解説した素晴らしい本です。おそらく、100年後の未来もこの本は色褪せることなく読まれていることでしょう。それぐらい普遍的な価値があるのではないかと思います。

 

 もともとホモ・サピエンス(以下人間)は地球上の生物の中で支配的な地位にあったわけではありません。単体で見ればライオンやトラに勝てるはずもないのに、いまや絶滅に追い込むようになったのはなぜなのでしょうか。ユヴァル氏によると、人間は「虚構」を作り出すことで繁栄することができたと述べています。

 

 弱い人間が繁栄していくためには、多くの人が協力しなければなりません。そのためには多くの人々をつなぎとめる何かが必要でした。それが実際には存在しない、想像上の物語りである「神話」なのです。一つの神話を信じることで、会ったこともない人を仲間だと真実事が出来たのです。神話という虚構がなければ人間が繁栄することはできなかったでしょう。またその後も、言語や数字、宗教、貨幣などありとあらゆる虚構を作り出すことで文化を創り出し、世界中に繁栄することができたのです。

 

 人類史は現代を理解するうえでも重要だと思います。1000年前、2000年前に比べて、世の中は大きく変わりました。しかし、根本的な人間の構造や能力はほとんど変化はないのです。法律や宗教がどのように出来上がったのかを知ることで、現代社会を理解するこができるのです。

 

 本書は本物の教養を学べる素晴らしい本なので、大人だけでなく高校生や大学生にも是非おススメです。

「鏡の法則」 野口嘉則

★紹介図書 「鏡の法則」 野口嘉則

 

 「人生とは自分の心を映し出す鏡である。」というメッセージは、とてもシンプルですが不変の真理といっても過言ではないでしょう。「鏡の法則は」初版から10年以上が経過しましたが、累計100万部を突破した大ベストセラーです。この本との出会いは8~9年ぐらい前に偶然本屋さんで見かけた時です。本の帯に「読んだ人の9割が涙した。」と書かれていて「本当かなぁー?」と疑いつつも、どうしても気になり買ってみました。読み始めると、すぐにストーリーに引き込まれてしまい一気に読んでしまいました。

 

 人は誰しもが不幸な出来事や、受け入れがたい事実を目の当たりにしたとき、原因を自分の中ではなく外に求めたくなるのではないでしょうか。私自身も、自分に起こる不幸な出来事を誰かのせいにして生きていました。そうすることで自分は悪くないと思い込むことができたからです。

 

 「鏡の法則」を読んだ後、今までの自分の考え方は間違っていたということに気づかされました。その衝撃はいまでもはっきりと覚えています。原因を自分の外に求めているうちは何事も解決することはないのです。厳しいことかもしれないけれど「目の前の現実はすべて自分の責任である。」と原因は自分の中にあると気づくことからすべてははじまるのだと思います。

 

 この本に出会ったのは20歳を過ぎていましたが、もしあの時出会っていなかったと思うとゾッとします。素晴らしい本との出会いに本当に感謝しています。

 

 まだこの本を読んでない人やちょっとしたことにすぐにイライラしてしまう人はぜひ読んでみてほしいです。もしかしたら人生を変えるかもしれない本との出会いになるかもしれません。

「夜と霧」 ヴィクトール・E・フランクル

★紹介図書 「夜と霧」 ヴィクトール・E・フランクル

 

 今回紹介する「夜と霧」はオーストリアのウィーン出身の心理学者、ヴィクトール・E・フランクル第二次世界大戦中、ナチスにより強制収容所での体験記です。あまりにも壮絶な体験を心理学者という視点から語られています。

 強制収容所の体験を通して、フランクルは極限状態に追い込まれて人間の感情の変化を大きく三つに段階分けしています。

 

第一段階は施設に収容される段階の「ショック状態」です。明日自分がガス室に送られるかもしれないという恐怖におびえ続けなければならないのです。私たちが日常で経験するショックとは比べられるものではありません。正常な精神状態を保つことなど不可能です。

 

第二段階は収容所の生活における「感情の消滅」です。強制収容所での生活は奴隷以下の地獄の生活です。空腹・寒さ・苦痛・睡眠不足などに耐え続けなければいけません。そんな生活を毎日続けていくとあらゆる感情が失われていくのです。日々のつらい出来事に心が反応していると精神を保つことが出来なくなるので、自分を守るため感情を失うようにしているのです。

 

第三段階は収容所から解放されたあとの「精神の弛緩」の状態です。私は、収容所を解放された人々は手を挙げて歓喜し、抱き合って涙を流しているような光景を想像していたのですが現実は全く違っていました。人々はこれまであまりにも抑圧され、感情を失っていたので、突然自由になったことを現実として受け入れることができなかったのです。

その後、自分たちの経験を語ることで、押し込められてきた感情が席を切ったように爆発していくのです。

 

極限状態に置かれた人間の感情はこのようなに変化していくそうです。強制収容所の悲劇は歴史の教科書では一つの歴史上の出来事として習いますが、「夜と霧」を読むことで強制収容所に入れられるということがどういうことなのかがよく分かります。

 

後世に語り継がなければいけない名著です。まだ読んだことがないという方ぜひ読んでみて下さい。

「人生で大切なたったひとつのこと」 ジョージ・ソーンダース

★紹介図書 「人生で大切なたったひとつのこと」 ジョージ・ソーンダース

 

日本ではまだ一般的ではありませんが、アメリカでは大学の卒業式に著名な人物を招いてスピーチをしてもらことがよくあります。Appleの創業者スティーブ・ジョブズスタンフォード大学でのスピーチなどは有名で聞いた事がある人もいるでしょう。今回紹介する「人生で大切なたったひとつなこと」はニューヨークの名門校シラキュース大学教養学部の卒業式で行ったスピーチの全文です。15分ほどで読むことができるとても短い本ですが、内容は何度も何度も繰り返し読みたくなる深いものです。

 

 ソーンダースは卒業生へ向けて自分の人生で最も後悔している一つの話をします。それはソーンダースが小学生の頃、転校生としてやってきたエレンという女の子とのエピソードです。エレンはクラスに上手く溶け込めず同級生から無視されるなど、ひどい嫌がらせを受けていました。ソーンダースは自ら嫌がらせをすることはありませんでしたが、助けてあげることはしませんでした。やがてエレンは自分の居場所を学校で作ることは出来ず再び転校していきました。

 

 ソーンダースが人生の中で最も後悔していることは「エレンへのやさしさが足りなかったこと」だと述べています。目の前に苦しんでいるひとがいたとき、どのような対応をするか、これは本当に人間力が問われる場面だと思います。自分がソーンダースの立場に立って考えたとき、エレンに対して守ってあげることができたかと考えれば、おそらくできなかったでしょう。それどころか、周りの雰囲気にのまれ、嫌がらせをする側に回っていたかもしれません。

 

 子供は弱い存在です。嫌がらせを受けている人がいて、変に助けたりすると今度は自分がいじめられると思い、いじめる側に加わったり、知らないふりをすることもあるでしょう。周囲の同調圧力に屈せず、自分の信念に基づいて行動することができる子供はかなり少ないのではないでしょうか。

 

 エレンの立場に立って考えてみると、転校先で自分のことを誰も受け入れてはくれず、居場所をなくしどれほど辛い思いをしたことでしょう。ほんの少しだけ勇気を出してやさしい人間になることで、エレンの状況は大きく変わったかもしれません。

 

 ソーンダースのエピソードを聞いて、改めて自分の人生を振り返ってみると、あの時もっとやさしくできていたらなと後悔していることはたくさんあります。すべては物事を自分中心に考えていたからです。本当の強さとは、どんな状況でも相手の立場にたって物事を考えることができ、勇気をもってやさしい行動ができるひとなのではないでしょうか。今回、この本を読んであらためて自分の優しさがたりないという事実に気づかされました。

 

「昨日の自分よりほんの少しでも優しい人間になろう」この事だけは忘れないでいたいです。

「書斎の鍵」 喜多川 泰

★紹介図書 「書斎の鍵」 喜多川 泰

 

 夫「ただいまー。疲れたよー。」 妻「お帰りなさい。ご飯にする?お風呂にする?」

テレビドラマでよくある会話ですね。現実にそれほどあるとは思えませんが。笑

 お風呂といえば、日本は世界で最もお風呂好きの文化があると言われています。一日の汚れをお風呂でキレイに洗い流さないと、寝られないという人も多いでしょう。

 では、心の方はどうでしょうか?現代は超ストレス社会です。一日過ごせば嫌なことの一つや二つあってもおかしくありません。一日過ごせば体だけでなく心も汚れてしまうのです。体の汚れはお風呂で洗い流すこともできますが、心の汚れはどうやって洗い流したらいいでしょうか。「誰かに悩みを聞いてもらう」、「お酒を飲む」、「スポーツをする」など様々なストレス解消の方法がありますが、実はもっと良い方法があるのです。

 その答えが今回紹介する「書斎の鍵」で述べられています。この本は、突然亡くなった主人公の父親が息子へ残した書斎の鍵の謎を巡って、主人公が人生を変える本と出会い成長していくという物語となっています。この本の中で「読書の習慣」こそが心の汚れを洗い流す一番の方法だと述べられています。なぜなら、本の世界にはこれまで人類が経験してきた喜びや挫折、苦悩などあらゆる英知の積み重ねが語られているからです。その中には、今自分が悩んでいることを解決するためのヒントが必ずあります。

 私は「書斎の鍵」を読んでますます読書が大好きになり、毎日本を読まないと気持ち悪いと感じるようになりました。本当に読書は心のシャワーだなぁと実感しています。著者の喜多川泰さんは横浜で聡明舎という学習塾を経営する企業家であり、一人でも多くの人に読書の習慣を身に着けてほしいという想いから小説を書き始めたそうです。

 これまで心にシャワーを浴びていなかったみなさん、お風呂で体をキレイにした後、読書という名のシャワーを浴びてみませんか。